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Report

《 2018.11.21 》
= 財政制度等審議会 =

介護ロボットやセンサーで人員基準緩和を 財務省意見書 利用料原則2割も


《 会見する榊原会長 20日 》

「率直に言って将来世代の子や孫たちに申し開きができない状況だと思っている」。榊原定征会長(東レ相談役)はそう危機感を表現した。
 
財務省の財政制度等審議会が20日に政府への意見書(建議)をまとめた。財政健全化に向けて覚悟を持って取り組むよう強く訴える内容で、給付費が11兆円に迫る介護保険の改革にも言及。現場の生産性向上を推進し、その成果を人員・設備基準の緩和や介護報酬の見直しなどに反映させることにより、サービスの質を維持しつつコストカットを図るよう求めた。
 
平成31年度予算の編成等に関する建議
 
AIやロボット、センサー、IoTなどのテクノロジを駆使し、施設などで必要な労働力を減らしていくことなどが念頭にある。生産性向上は厚労省も最重要課題と位置づけており、2021年度の改定を見据えた議論が加速していきそうだ。
 
財務省は利用者の自己負担の引き上げも要求した。保険料の伸びを抑えて制度の持続性を高めるため、段階的に原則2割へもっていくことが「必要」と主張。居宅のケアマネジメントでも新たに徴収を始めるべきとし、「サービス利用の大きな障害とはならない」と持論を展開した。これらは来年から本格的に動く審議会(社保審・介護保険部会)で俎上に載るとみられる。関係者の反発は必至で大きな焦点となりそうだ。
 

「悲劇の主人公は将来世代」

 

今回の意見書は、冒頭の総論部分を「平成財政の総括」と位置づけている点が1つの特徴となっている。
 
財務省はこの中で、社会保障費の増大などにより「国の借金」が膨張を続けている現状について、「厳しい財政を後世に押し付けてしまう格好。悲劇の主人公は将来世代であり、現在の世代は将来世代に責任を負っている」と問題を提起した。そのうえで次のようにまとめている。
 
「誰しも、受け取る便益はできるだけ大きく、被る負担はできるだけ小さくしたいと考える。ゆえに、財政運営は常に受益の拡大と負担の軽減・先送りを求める“フリーライダーの圧力”に晒される。平成という時代は、財政運営がこうした歪んだ圧力に抗いきれなかった時代と評価せざるを得ない」

《 意見書の手交 20日 》

榊原会長は会見で、「新たな時代では平成の過ちを繰り返さないようにする必要がある」と指摘。給付と負担のバランスを再考し、財政健全化の実現に道筋をつけるべきだと呼びかけた。「財政審は将来世代の利益の代理人だ」とも述べた。
 

 総合事業、「緩和型」を基本に

 

介護分野の具体策に新規のメニューはない。財務省のこれまでの提言を概ね踏襲した中身となっている。
 
要介護1、2の訪問・通所介護も市町村の総合事業へ移すべき − 。財務省は改めてそう注文。現行の要支援者の総合事業については、いわゆる「緩和型」や住民主体の形が基本となるよう働きかけるべきとした。
 
経営の合理化を進めていく観点から、介護サービス事業者の統合、再編、大規模化を促す施策を講じることも要請。保険者の意欲を引き出す「インセンティブ交付金」を積極的に活用し、給付費の地域差をできるだけ縮減していくことも求めた。

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